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空き家解決インタビュー

思いがけない親族の相続人となり実家を相続思いがけない親族の相続人となり実家を相続
取材背景
空き家が生じるシーンは、両親などの大往生に限らない。親兄弟の唐突死、あるいは親戚からの不意な相続などもありえる。長姉の急な訃報をきっかけに実家を相続した冨永義和さん。自身も次姉も別地に居を構えていたため実家を手放すことにした。最初は何をどうすればいいのかわからず、戸惑うばかり。そんな中、目の前の選択肢に対してどのような想いで二者択一をくり返していったのかを聞いた。 《取材・ライティング》ライター 小山典子
相続関係図相続関係図  
冨永さんと当センター伊藤▲お姉さまの急逝によりご実家を相続された冨永様(写真左)に
担当相談員として並走した当センター理事の伊藤(写真右)がお話を伺いました

始まりは姉の訃報

2020年8月某日、冨永さんの元に長姉の訃報が届いた。長姉は、2012年に母が亡くなって以来、両親から相続した千葉県松戸市の一軒家で一人暮らしをしていた。訃報を受けた冨永さんは、北海道で暮らす次姉と連絡を取り合い、生前から聞いていた長姉の意思を受け家族葬を催行。その後、実家の今後と形見分けの段取りを話し合った。

最初に取り掛かったのは、長姉の交友関係を調べることだった。長姉とは仲が悪かったわけではないが、家庭の事情で生まれ育った環境が異なっていたため、少し他人行儀な関係だった。加えて母の葬儀以来、8年もの間会っておらず、法定相続人こそ冨永さん本人と次姉だけだったが、懇意にしていて形見分けしたい人がいるかもしれないと考えたのだ。

童謡作家として生計を立てながら、一人で暮らしていた長姉。交友関係を調べて遺産や形見を渡す可能性がありそうな人に連絡を取り、「姉が何か言っていませんでしたか」と尋ねるも、それらしい答えは得られなかった。急死のため、当該の方に知らせられなかった可能性も考え遺言書も調査したが、家からも役場からも出てこなかった。そうして冨永さんたち姉弟が実家などの遺産を相続し、形見分けする方向性で進めることになった。

 

まずは空き家になった実家の管理

葬儀や相続の手続きなどをするため実家を訪ねると、近隣住民から「帰ってくるの?」と声をかけられた。すでに埼玉県所沢市に居を構え続けると決めていた冨永さんが「帰らない」旨を伝えたところ、「空き家にされるのは不安」と町内のあちこちで話題になってしまった。

しかも、いつの間にか「アパートにするつもりらしい」という根も葉もない噂まで囁かれるように。住民から聞こえる声を集約すると「空き家になると、不審者が出入りしたり放火されたりする可能性があるからどうにかしてほしい。かと言って、アパートにはしないでほしい」というのが総意のようだ。

実家は高台にある約200戸の分譲地の一つ。ほとんどの住民と顔見知りで、そこには小さなコミュニティが形成されていた。新しくアパートが建つことで、数ヶ月~数年おきに人が入れ替わることに不安を覚える人が多かったのだ。しかし冨永さん自身は所沢に腰を据えている。加えて、小6~高校卒業までの7年間しか暮らしていないこの地・家は、実家という意識はあれどどうしても戻りたい場所ではなかった。

次姉も、北海道にある夫の実家に暮らしており、この地に戻る気はない。しかし何も手を打たずにいると、ますます近隣住民の不安を煽ってしまう。何か良い対策はないかと考えていたときに見つけたのが、NPO法人空家・空地管理センターの無料相談窓口。冨永さんはさっそく連絡を取った。

冨永さんの実家があった高台にある分譲地▲冨永さんのご実家があった高台にある200区画ほどの大型分譲地

-「最初にメールをいただいた時点では、まだ相続“予定”の段階で遺言書の有無も不明、とにかくバタバタされている状態でした。

なので、最終的に『売却』という出口もあるかもしれませんが、いまは中の荷物の整理や相続をきちんと終わらせるなど、物事をきちんと整理しながら進めていきましょう、と伝えたんです。

幸い私は近隣の柏市に住んでいるので、早々にご実家を見に行き、家屋や庭などの状況や相続登記の進捗状況を共有しながら順序立てて進めていくことにしました」-

-「最初にメールをいただいた時点では、まだ相続“予定”の段階で遺言書の有無も不明、とにかくバタバタされている状態でした。

なので、最終的に『売却』という出口もあるかもしれませんが、いまは中の荷物の整理や相続をきちんと終わらせるなど、物事をきちんと整理しながら進めていきましょう、と伝えたんです。

幸い私は近隣の柏市に住んでいるので、早々にご実家を見に行き、家屋や庭などの状況や相続登記の進捗状況を共有しながら順序立てて進めていくことにしました」-

 

その後、弁護士に相談して法定相続人が冨永さんと次姉の二人に決定。相続手続きを始めたのは、訃報の知らせを受けて約2ヶ月が経過した2020年10月のことだった。その時点で、冨永さんは次姉と相談し実家を売却すると決めていた。世間的には賃貸などの選択肢もあるのは承知していたが、その昔、賃貸経営で痛い目を見ていたのですっかり懲りていたのだ。

-「以前、父が祖母から相続した水戸の土地でアパート経営していたことがあるんです。

近隣に住んでいるわけでもないのに管理会社などを利用しなかった結果、不法就労外国人の溜まり場になってしまい、近隣住人から苦情を受けてしまって。父が亡くなったあと、その状態で私たち姉弟で相続したものだから、諸々の対応が本当に大変だったんですよ。

1年かけて売却してどうにかなったのですが、それで賃貸経営には懲りていたので売却以外考えられませんでした」-

-「以前、父が祖母から相続した水戸の土地でアパート経営していたことがあるんです。

近隣に住んでいるわけでもないのに管理会社などを利用しなかった結果、不法就労外国人の溜まり場になってしまい、近隣住人から苦情を受けてしまって。父が亡くなったあと、その状態で私たち姉弟で相続したものだから、諸々の対応が本当に大変だったんですよ。

1年かけて売却してどうにかなったのですが、それで賃貸経営には懲りていたので売却以外考えられませんでした」-

 

11月下旬、冨永さんは年内を目処に家財整理を終わらせ、年明けから売却の検討を具体化する旨を当センターに連絡してきた。12月上旬、無事に家財の撤去などが完了し、電気水道ガスも止めることに。併せて、近隣への影響を考慮して除草の見積もりも取得した。そうして、少しずつ売却へ動き出したのだった。

 

正式な法定相続人になるために

売却の話を進める一方で、冨永さんの頭を最も悩ませたのは正式な法定相続人になるための手続きだった。「弁護士に相談して法定相続人が冨永さんと次姉の二人に決定」と前述したが、冨永姉弟の場合、親の都合や自分たちの結婚などの事情により3人同時に松戸に本籍を置いていた時期がなかったことが起因し、それが安易ではなかったのだ。この場合、法定相続情報証明制度を利用するため、自身から母方まであらゆる戸籍謄本を集める必要がある。

-「集めた戸籍謄本の数は膨大で、辞書くらいの厚みになりました。中身を少し見てみると200年前の江戸時代の先祖もいて。ここまで遡るのかと驚きましたが、おかげで初めて改製原戸籍(※)を目にしましたよ(笑)」-

-「集めた戸籍謄本の数は膨大で、辞書くらいの厚みになりました。中身を少し見てみると200年前の江戸時代の先祖もいて。ここまで遡るのかと驚きましたが、おかげで初めて改製原戸籍(※)を目にしましたよ(笑)」-

※改製原戸籍とは
改製原戸籍戸籍本の改正で書き換えする前の戸籍。電子化する際、元になった紙ベースで保管されていた戸籍のことも同様に呼ぶ。

※改製原戸籍とは
改製原戸籍戸籍本の改正で書き換えする前の戸籍。電子化する際、元になった紙ベースで保管されていた戸籍のことも同様に呼ぶ。

 

膨大な戸籍謄本一式は、その後、銀行などの全手続きで必要になるのだが、その都度また集めるのはあまりに大変で現実的ではない。そこで弁護士に依頼し、法定相続情報一覧図を作成してもらった。お金はかかるが、これを法務局で交付してもらうと1枚の書類で済むようになる。諸々の手配・手続きに要した期間は半年以上。その後、2月下旬にようやく相続登記が完了して冨永さんと次姉が正式な法定相続人になり、銀行などの手続きを進められるようになった。

法定相続情報一覧図▲法定相続情報一覧図

更地にして売却

並行して2021年1月中旬、担当相談員の伊藤と冨永さんとで今後の売却についての1回目の打ち合わせを実施。冨永さんは、前年11月に当センターに連絡した段階では、更地にするより古家ごと売却する方が楽だと考えていた。

-「それでは売りにくいのではないか、と提案しました。冨永さんの実家敷地は84.7坪。首都圏でよく購入されるのが30~40坪程度ですから、とても広いですよね。

そうすると総額が上がってしまい、購入できる層が限られます。加えて、現状だと車庫のスペースがなく、建築する際は擁壁も含め、大規模な工事の必要がありました。

駅から近く高台にある閑静な住宅街と立地条件がいいからこそ、更地にして購入しやすい形に整理した方が売却の可能性が高まると判断しました」-

-「それでは売りにくいのではないか、と提案しました。冨永さんの実家敷地は84.7坪。首都圏でよく購入されるのが30~40坪程度ですから、とても広いですよね。

そうすると総額が上がってしまい、購入できる層が限られます。加えて、現状だと車庫のスペースがなく、建築する際は擁壁も含め、大規模な工事の必要がありました。

駅から近く高台にある閑静な住宅街と立地条件がいいからこそ、更地にして購入しやすい形に整理した方が売却の可能性が高まると判断しました」-

加えて伊藤は、譲渡所得から3,000万円の特別控除ができる制度(※)を利用することも提案した。この制度を利用するにはいくつかの条件があるのだが、合致するケースはそう多くなく、合致するなら使わない手はない。しかし制度を利用するためには、オーナーの冨永さんが自ら解体する必要がある。それも、伊藤が更地化を勧めた大きな一因だ。解体を進めながら売却にかけると、すぐにいくつもの建売業者や銀行などから問い合わせがあった。

※譲渡所得から3,000万円特別控除される制度とは
親などが居住していた実家(昭和56年5月31日以前に建築されたもの。集合住宅を除く)を相続し、3年以内に耐震改修または解体した上で売却すると、譲渡所得(不動産を売却して得た利益)から3,000万円控除される。しかし適用には条件があり、2016年4月1日~2023年12月31日までの間の譲渡で、被相続人居住用家屋か被相続人居住用家屋とともにする敷地に供されている土地、あるいは被相続人居住用家屋の除去後の敷地に供されていた土地などである必要がある。

もともと物件としての条件が良かったのもあるが、その頃、新型コロナウイルス感染症が流行していた影響で、多くの人が住まいを見直し、住み替える人が増加していたことが問い合わせ件数を増やした。欲しい人はいい物件があればすぐに買う状況。建売業者は販売過多で、在庫がなくなっては慌てて買う流れが多く「とにかく〇月までに土地を仕入れないと困る」という問い合わせまであった。そんな中、冨永さんが売却先に選んだのは有名な建売業者だった。

▲3,000万円特別控除を利用するために更地に

-「売却後のビジョンが明確だったんです。建売を2軒建てると説明してくれたので、安心できました。

売却後にアパートなどを建てられても、私からは文句が言えません。けれど近隣住民にとっては良い気持ちはしないでしょう。私自身と近隣住民、双方の願いが叶う結果にできると確信できたことで、ここに売却しようと踏み切れました。坪単価がよかったのも理由ですけどね。

いまの時代、ちょっと高くても買いたい人がいるのだなと実感しました」-

-「売却後のビジョンが明確だったんです。建売を2軒建てると説明してくれたので、安心できました。

売却後にアパートなどを建てられても、私からは文句が言えません。けれど近隣住民にとっては良い気持ちはしないでしょう。私自身と近隣住民、双方の願いが叶う結果にできると確信できたことで、ここに売却しようと踏み切れました。坪単価がよかったのも理由ですけどね。

いまの時代、ちょっと高くても買いたい人がいるのだなと実感しました」-

特定埋蔵物包蔵地域と判明

更地にして売却することが決まったものの、新たな問題が浮上した。契約を進めるため必要な物件調査を実施したところ、冨永さんの実家周辺一帯が特定埋蔵物包蔵地域であることがわかったのだ。ここ20~30年で松戸はもともと古墳が多い地域だと判明したそうで、実家のある場所はなんとお城の跡地。高台に建っていたのも納得だ。

特定埋蔵物包蔵地域内である以上、事前に調査し、承認を得ておかなければ、買主である建売業者は販売することができない。冨永さんは売買契約締結後、正式に教育委員会に申請して試掘調査をしてもらうことに。もし遺構(竪穴住居跡や古墳など)や遺物(土器など)が掘り出されたら、土地所有者が費用負担し本調査が実施されることになる。そうするといつ買主に土地を引き渡せるかわからない。しかし、こればかりは祈るしかない。幸い何も発掘されなかったため、2021年7月、無事に残代金決済を行うことができた。

埋蔵文化財包蔵地図埋蔵文化財包蔵地図(ちば情報マップより参照)

売却を終えて

現在、冨永さんの実家だった地には2軒の戸建てが建ち並び、若い家族が住んでいる。冨永さんも、そして近隣の人たちも満足する結果になっただろう。

-「今回、相続から売却まで常に周りの人々の声が聞こえていました。善意のものも当然ありましたが、怪しい声もあったのは事実です。

それらの声に心乱されることもありましたが、常に自分で調べて納得して進めることを意識しました。わからないことがあると、すぐに伊藤さんに連絡して聞いていましたね。だからこそ、心から納得できる結果になったのだと思います」-

-「今回、相続から売却まで常に周りの人々の声が聞こえていました。善意のものも当然ありましたが、怪しい声もあったのは事実です。

それらの声に心乱されることもありましたが、常に自分で調べて納得して進めることを意識しました。わからないことがあると、すぐに伊藤さんに連絡して聞いていましたね。だからこそ、心から納得できる結果になったのだと思います」-

 

今回、冨永さんは「放棄しても誰も得をしないから」という理由で実家を相続し、最善策を考えた結果、売却した。その道のりは平坦ではなかったが、折々に当センターを始めとしたあらゆる専門家の力を借りながらも、冨永さん自身で都度、二者択一をくり返して目の前の壁を乗り越えていた。「実家じまいは自分には無縁のものだと思っていた」と冨永さんは振り返る。「相続の話はいずれ考えなければいけないとわかっていたけれど、正直考えたくなくて見ないふりをしていた部分もある」と。

同様の考えを持っている人は少なくないだろう。しかし、多くの人がいずれ、程度は違えど相続の問題と対面する。しかも、今回の冨永さんのように不意なタイミングでそのときは訪れるかもしれない。冨永さんは今回のことを教訓にエンディングノートを作成。相続・売却が完了してしばらく経った夏のある日、家族全員に配った。自分が亡き後、大切な家族が困らないように。それは、生きている“いま”だからできる、最後の親の務めと考えたからだった。

  冨永さんが今回うまく事を進められたポイント冨永さんが今回うまく事を進められたポイント

担当者の振り返り

冨永様は判断力、決断力がとても長けていらっしゃる方でした。突然降ってわいた相続のお話を、時間をかけて整理してご実家の管理~利活用に向けて必要な情報を収集し、短期間でいくつもの判断をしていくのは、なかなかできることではありません。またご自身で推進する中でわからないこと、不明点などがあればすぐに私にご連絡をいただき、一緒に解決してきたことでとても良い信頼関係を構築させていただきました。

冨永さんと当センター伊藤▲担当の伊藤と記念撮影。貴重なお話ありがとうございました!
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