行方不明の相続人がおり、実家の相続・売却手続きが進められない
お父様が亡くなり、お母様も施設に入所されたため空き家となった実家を手放したいとご相談に来られました。実家を売却するためにはお父様からの相続手続きが必要になりますが、共同相続人となるはずだった弟様がすでに亡くなられており、さらに代襲相続人(本来の相続人が相続できない時に代わりに相続する人)にあたるお子様のうち2名の行方が分からず、売却に向けた手続きが進められないという問題でお困りでした。
1.相続人の一部がどこにいるか分からない
相続したご実家を売却するためには、亡くなったお父様の名義から相続人へ名義変更(相続登記)が必要でした。そのためには、法定相続人全員で遺産の配分を決める遺産分割協議をおこない、全員の合意を得なければなりません。しかし、代襲相続人である甥・姪のうち2名の行方が分からなかったため、まずは代襲相続人の所在を確認し、遺産分割協議を済ませる必要がありました。
2.土地が法的制約を受ける道路に接道
ご実家の土地は、但し書き道路(原則として建物を建ててはいけないが、自治体の許可を得れば建物を建てられる道路)に接していました。そのため、将来新しく家を建て直す際には、その都度、建築審査会の審査を経て自治体から建築許可を得る必要があります。許可を得るための手続きに数ヶ月の期間を要するなど制限が多いため、このような物件で買い手を見つけることは非常に難しい状態でした。
1.専門家連携による行方不明の相続人の調査と条件交渉
司法書士と連携して戸籍などを調査し、行方不明だった2名の相続人(甥・姪)を探し出しました。しかし、探し出した相続人のお二人は絶縁状態で関係性が悪く、当事者同士で直接顔を合わせて交渉することが困難な状況でした。遺産分割協議で財産を分ける場合、当事者同士で連絡を取り合ったり、実印をもらったりと、何度も関わりを持つ必要が生じるため、相談者様は相続人の二人に対して法的に一切の権利を手放す相続放棄をしてもらいたいと希望されました。
そこで、法的な手続きは司法書士がおこない、売却に向けた金銭面の調整は不動産会社が第三者として間に入り引き受けるという役割分担をおこないました。
法律上、相続放棄は自身が相続人であると知った日(司法書士からの通知を受け取った日)から3ヶ月以内に行わなければならないという期限が迫っていました。その限られた時間のなか、不動産会社が相談者様に代わって、別々の世帯である甥・姪それぞれと個別に面会しました。そして、「相談者様が不動産を売却した代金の中から解決金として一定の金額をお渡しする代わりに、相続放棄の手続きに応じていただく」という条件をご提案しました。親族間の複雑な感情が絡む難しい調整でしたが、最終的に売却代金の一部をお渡しする条件で、無事に相続手続きの合意(相続放棄)を得ることができました。
2.不動産会社による現状での買取り
但し書き道路に面しており新しい家を建てるためのハードルが高いことに加え、建物自体も著しく老朽化している状態でした。このような建築規制があり個人の方への売却が難しい状況を踏まえ、現状のまま不動産会社に直接買い取って頂く方法をご提案し、買取り可能な不動産会社を複数社ご紹介。無事解決に至りました。
相続人が行方不明で、さらに売却しにくい特殊な土地だったので、この先どうなるのか不安でしたが、専門家の方に間に入っていただき、無事に売却することができ安心しました。
・相続人が行方不明の場合は、司法書士などの専門家に居場所の調査や、法的な手続き・条件交渉などの依頼を検討してみる
・建築制限があり個人の方への売却が困難な場合は、不動産会社に買い取って頂くことを検討してみる
相続人が行方不明の場合、不動産の売却や活用は一切できず、その状態を放置することで問題はより複雑化し、精神的・金銭的負担を要します。ご自身で抱え込まずに、お早めに専門家へご相談されることをおすすめします。
※建物の修繕・解体、不動産の賃貸・売買及びその媒介などの活用は、必要とされる許認可を持つ事業者の協力を得て行っており、当センターが直接行っているものではありません。予めご了承ください。