掲載日:2024年5月10日
総務省の「令和5年 住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家総件数は、2018年の849万戸から2023年時点で900万戸と、51万戸の増加で過去最多という結果が示されました。そのうち「賃貸・売却用および二次的住宅(別荘など)を除く空き家」が2023年時点で385万戸と、2018年時点での349万戸から37万戸増加しており、空き家全体の増加件数の約7割を占め、今後も増え続けていくことが予測されます。
国内の空き家は、少子高齢化の進展や人口移動の変化などを背景に、増加の一途をたどっており、特に適切に管理されていない空き家の増加が社会問題となる中、2023年12月には、「管理が不十分な空き家」に対して税優遇の対象から解除すること等が盛り込まれた法改正(空家等対策の推進に関する特別措置法の改正)が施行され、空き家所有者においては空き家管理がより一層求められる状況になりました。当センターに寄せられる相談も、2018年から2023年では約2倍の相談件数となり、上述した法改正や各自治体における空き家対策によって、当事者意識の高まりが感じとれます。
また、寄せられる相談内容にも変化が見られ、2018年時点で全体の約30%を占めていた「活用したい」という相談が、2023年時点では約14%へ縮小し、代わって「管理したい」「売却したい」「解体したい」といった、活用の中でもより具体化された相談が拡大傾向にあります。今後、国や自治体の空き家対策がより推進されるにつれ、併せて具体的な対応策を検討する所有者の増加が想定されることから、所有者それぞれに置かれる課題整理を支援し、解決に繋げる為の各種サービスの存在が重要となるでしょう。
なお、当センターでは、設立以来、累計1万件を超える空き家相談に対応する中で、「空き家の管理責任を問われた時にどうしたらよいのか分からない」「周囲への危害が心配」といった、空き家の管理に対する不安な声を多くお聞きしてきました。そのため、空き家所有者やそのご家族にとって、より安心いただけるサービスを提供するために、2024年1月より「空き家専用保険を自動付帯する空き家管理サービス」の提供を開始しました。空き家を所有する方々が従来以上に安心して、空き家を適正に管理できる環境を整備することで、社会課題の解決に貢献したいと考え、現在266市区町村(2024年4月10日時点)にてサービス提供を行っています。
また当センターでは空き家に関わるあらゆるお困りごとをワンストップで解決するための総合相談窓口も運営しており、各自治体と連携を図りつつ全国の協力事業者とともに日々活動を行っています。相談対象エリアは現在541市区町村となっており、不動産会社をはじめ、解体業者、リフォーム業者、司法書士、税理士などとも連携を図りながら、ワンストップでの解決を目指した体制構築を行っています。
その他、空き家の発生抑制・有効活用・適正管理に関するセミナーイベント等を通じた普及啓発の取組みや、相続、売却、賃貸及び管理に関する無料相談を提供しながら空き家問題の解決に努めています。
■特定非営利活動法人 空家・空地管理センターについて
特定非営利活動法人 空家・空地管理センターは、空き家に関わるあらゆるお困りごとをワンストップで解決するための総合相談窓口です。社会問題化する「放置空き家」を無くすことを目標に2013年に設立し、各自治体と連携を図りながら日々活動を行っています。